7月18日(土)から20日(月)にかけて、「芸術未来研究場せとうち」を拠点に、中高生向けのプログラムかがわアートスタディーズU18が行われました。海洋調査、歴史民俗資料館での学び、そしてアーティストと共に取り組むチーム活動と、盛りだくさんの3日間の様子をレポートします。
1日目:「豊かさ」について考える・オリエンテーション(7月18日)
高松駅バスロータリーに集合した参加者たちは、大型バスで芸術未来研究場せとうちへ。到着後、入校式が行われ、オンラインで東京藝術大学美術学部長の橋本和幸先生からの挨拶もありました。
その後は自己紹介の時間。マインドマップを使って自分自身を紹介し合うワークからスタート。続いて、この分校を支える3人のアーティスト(柴田早穂さん、西原尚さん、宮脇慎太郎さん)による自己紹介、そして香川大学、中國正寿先生による海洋研究講義が行われました。
講義の後は「豊かな海とは何か」をテーマにディスカッション。香川大学、柴田悠基先生がファシリテーターを務め、参加者それぞれが「豊かさ」について考えを深めました。
午後はいよいよチームに分かれての活動です。
- 柴田チーム:「海のゆたかさ」を考える主体を、自分から少しずつずらしていくための3日間。まずは身近な素材を使ったものづくりから始めました。近くの鎌野海岸海水浴場でイカの甲を探し、それを削って鋳型をつくり、鋳造を体験しました。
- 西原チーム:参加者の皆さんの方向性や関心事項を聞きました。また、今回のプロジェクトの方向性について「ミュージッキング」「エコクリティシズム」「サウンドスケープ」といったキーワードを交えて話しました。
- 宮脇チーム:デジタルカメラの使い方をレクチャーし、写真表現の基礎を学ぶ時間、こちらも海岸に出て一眼レフを使用しての撮影を開始しました。
2日目:海での調査・民俗学に触れる一日(7月19日)
2日目のテーマは「海洋調査」と「民俗学」。参加者は2チームに分かれ、40分サイクルで海洋調査と顕微鏡観察を交代しながら体験しました。
海洋調査チームは香川大学の調査船に乗り込み、高島・志度湾で潮目観察や採取を実施。中國先生と海洋研究の学生たちの案内のもと、実際の瀬戸内海の環境に触れる貴重な機会となりました。
顕微鏡観察チームは庵治マリンステーションの研究室で、採取されたプランクトンなどを顕微鏡でじっくり観察。船に乗るチームと交代しながら、それぞれのアーティストが同行し、海洋調査を多角的な視点から学びました。
昼食をはさみ、午後は瀬戸内海歴史民俗資料館(れきみん)へ移動。松岡明子館長からのガイダンスを受けたあと、各チームがそれぞれのテーマで館内を見学しました。
- 柴田チーム:昔の漁具コーナーで、植物性テグスや仕掛けを見学し、素材や使い方についての説明を受けました。普段は入ることのできない収蔵庫では、テグス行商船を見学し、制作につながる多くのヒントを得ました。
- 西原チーム:瀬戸内海歴史民俗資料館前館長の田井静明さんが、展示物から聞こえてくる音や展示物に結びついた音についてまとめてレクチャーをしてくださいました。その後、実際に展示を回ってレクチャーで教えて頂いた音を中心に見学しました。
- 宮脇チーム:自分自身の視点でれきみんの展示を撮影しました。人とは違うアングルを探しながら、「瀬戸内の人々が何を大切に生きてきたか」を考えました。
夕方には研修室での民俗学的アプローチの講義も行われました。その後、高松駅にて解散。海と歴史、両方の視点から瀬戸内の豊かさに迫った一日でした。
3日目:それぞれのチームでの活動(7月20日)
最終日は各チームに分かれての活動が行われました。
- 柴田チーム:前日の海洋調査で採取した稚魚の標本づくりに挑戦しました。中國正寿先生や香川大学の学生のみなさまのご協力のもと、じっくりと観察しながら標本を制作しました。その後、柴田悠基先生による「釣りと環境」をテーマとしたお話を伺い、午後の制作に向けて考えを深めました。午後は再びイカの甲を使った鋳造に取り組み、「どんな魚を釣りたいか」を想像しながら、オリジナルの釣り用ジグを制作しました。
- 西原チーム:楽器づくりに取り組みました。近隣の竹林に竹切りに行き、その竹を使って、横笛、縦笛、斜め笛、竹ぼら、梓弓を作りました。成果発表では作った楽器を演奏しました。お互いの音とタイミングに集中して緊張感のある演奏を行いました。演奏の最後には香川県庁の丸谷徹さんにトランペットで参加して頂きました。
- 宮脇チーム:舞台を庵治漁港に移し、フィールドでの撮影を実施。「自分が何を大切にしているのか」「そこに住む人々が何を大切にしてきたのか」をテーマに、各自でテーマを決めながら撮影しました。写真を見返す講評会も行われました。
- その後、全チームがそれぞれの7月分校の成果を共有し合いました。最後に閉校礼が行われ、8月の文通、そして9月分校へとつながる話で締めくくられました。
次は8月の文通、そして9月の分校へ。各チームがどのようなリサーチや作品に展開していくのか楽しみです。
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その他の参加者
アーティスト:宮脇慎太郎